株式会社ケントク
DX推進室長 藤原 二三子 様
1967月4月生まれ
山梨県上野原市出身。服飾専門学校を卒業後、アパレル会社に入社し、洋服の縫製を担当。1997年5月に、夫の実家である北九州市に転居。数社のバックオフィスを経験し、2021年11月に株式会社ケントクに入社。2022年4月にDX推進室長に就任し、建設DXを推進中。
北九州市小倉南区に本社を置き、建設現場に一早くDXを取り入れている株式会社ケントク様 。 2022年度北九州市スタートアップ助成事業の「メーカーズプロジェクト」に採択され、プロトタイプの制作を行いました。また、2023年5月には北九州市内で3社目となる、経済産業省のDX認定を受けました。
(上記以外にも、ケントク様のDX取り組み内容については こちら をご覧ください)
ケントク様のDX推進室長に抜擢されたのは、これまでDXとは無縁な業務に携わっていた藤原氏。未経験ながら建設DXにチャレンジしている背景や取り組み内容などを代表取締役の関氏と藤原氏にお話を伺いました。
地方の建設DXに挑戦 未経験のDX室長が推進
ー 事業内容を教えてください
関氏:ケントクは2008年4月に設立した建設業を手掛ける会社です。それ以前は、私自身が高速道路の施工管理を行っていました。具体的には、橋や高速道路の建設や保守、メンテナンスを担当し、現場の出来高、品質、安全、工程などを管理していました。この経験を基に独立し、当初は5名で施工管理の会社を始めました。
建設工事にも進出し、少しずつ事業を広げ、10年ほど前からは、太陽光発電の関連工事に力を入れ、測量、基礎工事、パネル設置、造成工事、さらには電気工事までを手掛けるようになりました。
ケントクの特徴の一つは、建設業として特定建設業の許可を持っている点です。これは、土木工事と電気工事の両方をカバーできる体制を整えており、これにより大規模な工事の請負も可能になっています。また、全国どこへでも対応できる体制が整っており、全国的に幅広い地域で工事を手掛けることができます。
ー 建設DXに取り組んだ背景を業界課題と併せて教えてください
関氏:現在、建設業界が直面している最大の課題は人手不足です。特に高齢化が進む中で、人力作業に依存しているため、スキルを持った人材が不足しています。これにより、若者の入社が難しく、また入社しても長期的に定着させるのが難しい状況です。
建設業自体が「きつい、汚い、危険」といった3Kのイメージが強く、特に若い世代にとって魅力的に映らないことが一因だと思います。また、現場での厳しい労働環境や不安定な労働条件も影響しており、労働環境の改善が求められています。
現場では資格を持った監理技術者や作業者も少なくなっています。近年、現場での事故等が多くなっている為、安全管理や健康管理の重要性が高まっていることも挙げられます。
このままでは業界全体が持続不可能になると危機感を感じました。そこで、私たちはICT(情報通信技術)やAIなどのデジタル技術を活用し、現場の効率化を図ることで、この問題を解決しようと考えました。ドローンを使った測量や、ICT重機を導入して作業の効率を大幅に改善することで、生産性を向上させるとともに、労働環境の改善を狙いました。
ー 藤原様をDX推進室長に抜擢された理由を教えてください
関氏:藤原は前職での経験や仕事に対する姿勢から非常に信頼がおける人物です。彼女は書類作成やパソコン操作に非常に精通していて、私が何か1つ指示を出すと、そこから10までを理解して動いてくれます。ですので、彼女をDX推進の責任者に抜擢することに迷いはありませんでした。
私は、常に新しいことに挑戦し、成長を続けていくことが重要だと考えています。藤原もその点で非常にチャレンジ精神が旺盛で、DXの未経験者であっても、その柔軟な思考と新しいことに対する前向きな姿勢が、DX推進の役割に適任だと判断しました。実際に、彼女のリーダーシップの下、DXの取り組みは着実に進んでいます。
ー 藤原様、DX推進室長に抜擢された時、取り組みを進めていた時の心境を教えてください
藤原氏:確かに、DXは私にとって未経験の領域でした。IT用語やDX用語は全く分からず、今も十分には理解していませんが、失敗を恐れずにチャレンジする姿勢が何よりも重要だと考えています。
関も同様の考えを持っており、「失敗は経験」と捉え、そこから何を学ぶかを常に問いかけてくれます。以前の私だったら、失敗を恐れ指示されたことだけこなしていましたが、今では積極的に挑戦をできるようになりました。
ケントクは、失敗を経ることで経験が深まり、成長していく環境が整っている為、日々の業務が新鮮です。今に満足せず引き続き新しい挑戦を続け、DXをさらに推進していきたいと思っています。
経営ビジョンの策定から始めた建設DXの挑戦
ー 建設DXに取り組む際、イジゲングループと共創することになった経緯を教えてください
関氏:建設業界全体が抱える深刻な課題に対しDXが欠かせないと考えていたとき、西日本シティ銀行様からイジゲングループの池さんと片山さんを紹介していただきました。イジゲングループが提供するDX推進のノウハウや支援実績が非常に豊富で、私たちの抱える課題にピッタリだと感じました。
藤原氏:2023年5月に認定された、経済産業省のDX認定への応募は、イジゲングループからの提案がきっかけでした。片山さんと資料提出の締切ギリギリまで修正を施したのは忘れません。結果、北九州で3番目となるDX認定をいただくことができました。
ー 具体的にどのような支援を受けられたか、特に印象に残っていることを教えてください
関氏:イジゲングループは、DXの導入に向けた全体的な戦略設計から、具体的な技術導入まで幅広くサポートしてくれました。
まず、現場や本社のデジタル環境を整備するために、クラウドサービスを導入し、情報を一元化するシステムを作りました。また、ドローンを使った測量やICT重機の導入で、作業の効率化と品質向上を実現する支援もしてもらいました。さらに、勤怠管理システムの導入によって、給与計算や管理の時間短縮も図ることができました。
特に印象に残っているのは、戦略設計をした際に「DXによって実現したい経営ビジョンは何なのか、というところから整理しましょう」と提案をいただいたときのこと。
さまざまなディスカッションを重ねた結果、「地方の建設業界の課題である人手不足の解決に向けて年齢・性別を問わず、また熟練者でなくてもチャレンジできる環境を創り、建設業界を活性化する」ことを経営ビジョンに定めました。
「なぜDXをするのか」という目的を定める重要性に立ち返るいい機会となりました。最初にビジョンを掲げたことで、DXという手段が目的にならずにプロジェクトを進めることができました。
藤原氏:私が印象的だったのは、北九州市の「メーカーズプロジェクト」でのプロトタイプ制作の支援です。イジゲングループの協力で、短期間で質の高いプロトタイプを実現。また、DX推進に向けた体制構築にも助力してもらい、週ごとのPDCAサイクルを実行することで、DXプロジェクトの進行状況を可視化し、組織全体での推進力を強化しました。
成果としては、まず現場作業の効率が飛躍的に向上したことが挙げられます。例えば、ドローンを使った測量によって、以前は数名で数日かかった作業が1人で行え、短時間で完了するようになりました。
また、クラウドサービスによる情報の一元化や図面のデジタル化により、作業プロセスの追跡や変更管理もスムーズに行えるようになり結果として、生産性の向上とコスト削減に大きく貢献しました。
最近では、「情報の共有」を課題としてサイボウズのキントーンを導入し、見積作成管理、日報、顧客管理、工事台帳など約20のアプリを作成し、皆が同じ情報をいつでも共有できる環境を整えました。
建設業では、工事の受発注を受けると契約書の締結が必須ですが、従来の紙での締結は印紙代や郵便切手、時間がかかるため、電子契約も導入しました。これにより、経費の削減が実現し、締結漏れもなくなりました。
地方建設業界のリーダーとしての成長
ー 今後の展望を教えてください
関氏:ケントクの大きな目標は、地方の建設業界をリードする企業になることです。建設業界全体が抱える人手不足や高齢化、技術者の不足といった課題に直面している中で、DXを推進することでこれらの問題に対応し、業界全体を活性化させていきたいと考えています。
特に、デジタル技術を活用して年齢や性別、経験に関係なく誰もがチャレンジできる環境を作りたいと考えています。これによって、建設業のイメージを変え、より多くの人材を惹きつけることができるようにしたいです。
具体的には、現場での効率化と品質向上をさらに進めていくことです。ドローンやICT重機の導入によって現場作業を効率化し、品質も高めることができましたが、これをさらに強化していきたいと考えています。また、クラウドサービスによる情報の一元化を進め、業務の透明性と管理効率を向上させることにも注力していきます。
生産性向上やコスト削減を目指すと同時に、作業員の安全や健康管理をデジタル化し、より安心して働ける環境を整えることが重要だと感じています。
また、私たちのDX推進の成果を他の中小企業にも共有し、地域や業界全体のデジタル化を促進したいと考えています。DXの重要性や効果を示すことで、他社にも変革の波を広げていけると思います。
その一環として、ドローンを活用し地域貢献とコミュニティとの連携を図ります。地域社会とのつながりを強化することが目的です。特に、建設業界が地域にどのように関与しているかを示す良い機会となり、ドローン技術を通じて地域貢献を実現できると考えています。
ケントクは、DXと先端技術を活用するプロフェッショナル集団として常に成長していきたいと考えています。新しい技術を取り入れ、建設業界のデジタル化を先導する企業であり続けていきたいです。その為には、社員一人ひとりが成長できる環境を整え、全員が同じビジョンに向かって進んでいけるようにしたいと思っています。これからも、継続的に技術革新を進め、業界全体の競争力を高めていきます。
事業内容
株式会社ケントク様は2008年4月に設立した建設業を手掛ける会社で、「建設DXと先端技術で地方の工事業界をリードする」ことをビジョンに掲げています。