株式会社二鶴堂
取締役 経理部長 野村 良子 様
1976月4月生まれ
福岡県出身・在住。福岡女学院短期大学卒業。2003年に株式会社二鶴堂に入社し、販売から仕入れまでに携わる。2020年に取締役 経理部長に就任。
【課題】
・経営層や本部は日次で店舗の数字を把握したいが、できていない
・業務効率化をしたいが、何を基準にどのシステムを選べばよいか分からない
・業務の属人化を解消したいが、どのようなシステムが最適か分からない
・70年以上の伝統ある企業で、デジタルツール導入への抵抗がある
【解決策】
・本質的に解決したい課題と運用する体制をしっかりと分析しさまざまなシステムサービスを比較・検討し、自社に合うシステムを選択
・デジタルツール導入と同時にマニュアル作成をし、属人化した業務の解消を推進
・デジタル化への抵抗をなくすためのレクチャーを実施
【効果】
・経営層や本部が日次で店舗の数字を把握できるようになり、店舗運営の意思決定が迅速になった
・作業時間が短縮され本来時間をかけたい業務に集中できるようになった
・マニュアルを見れば誰もができる業務になり、脱属人化が進んだ
・情報共有がスムーズになり、一元管理によって業務ミスも減少
・マニュアル作成とサポートを通して、従業員がデジタルツールの便利さや効率の良さを実感し、デジタル化への理解と興味が高まった
ー 福岡の老舗企業・二鶴堂が「元気な心で価値ある商品とサービスを提供する」ビジョン実現のためにデジタル化に取り組む
株式会社二鶴堂様は、菓子の製造・卸・販売を手掛ける企業で、今年で創業72年目を迎えます。代表的な商品は「博多の女」や「博多ぽてと」があり、地元福岡を中心に高い人気を誇っています。正社員やパートを含め112名の従業員が在籍しています(2023年11月1日)。
伝統ある企業がデジタルツールの導入に踏み切ったのには、目的に向けた強い想いがありました。その想いや具体的なデジタル化の取り組みとその成果について、取締役 経理部長の野村氏にお話を伺いました。
ー ビジョンへの想いを教えてください
二鶴堂は、「元気な心で価値ある商品とサービスを提供する」ことをスローガン(ビジョン)に掲げています。お取引業者の方々やお客様に喜びと感動を提供するという、創業者である祖父母の大切にしていた想いを引き継いでいます。
印象深い話として、創業者の代で会社が倒産の危機にさらされた時期がありました。その時の従業員は「1年間無給でよいから働きたい」と働き続けてくれ、取引先様も「1年間支払いはなくてよいので取引を続けましょう」と言ってくれたといいます。そのおかげで、今の二鶴堂があるため、自分たちの得だけを考えるのではなく「いいものを作って、お世話になった人たちに恩返しせないかん」とよく祖母から話をしてもらいました。
また、祖父母はもちろんのこと、現社長である母や私も二鶴堂で働いてくれている従業員とその家族の幸せが一番だと考えています。その従業員の幸せを支えるため、二鶴堂は日頃お世話になっている取引先様やお客様に安心・安全に徹底したおいしいお菓子を提供していかなければなりません。
そのような想いを継ぎながら、菓子の製造を手掛ける中で、お客様に安心してお菓子を召し上がっていただくためには食品は安全なものでなければならず、そのために確実にマニュアルやレシピは守り、衛生に注意をして製品を完成させるという変わらない伝統を守っています。
一方で、「元気な心で価値ある商品とサービスを提供する」ことを続けていくために、伝統を守りつつも新しいことに挑戦し、お客様や取引先様など多くの方々に恩返しできるような経営を心がけています。
ー ビジョン実現のためのチャレンジを教えてください
「元気な心で価値ある商品とサービスを提供する」ことを続けていくため、時代に合わせた変化と成長を遂げていくべきだと考えています。
大きなきっかけとなったのはコロナで、売上が下がり、経費削減のためデジタル技術を活用した業務効率化を取り入れる必要がありました。
まず、取り組んだのはグループ会社の株式会社日本一たい焼での売上報告業務の改善です。
経営層側で、店舗の売上等を日次で把握したいと考えていました。しかし、店舗での売上等の報告書は紙で管理されており、本部への報告はFAXを使用。本部では、送られてきた報告書を別のソフトに入力し集計する流れで、日次で報告をするのは難しい状況でした。
改善すべく、さまざまなクラウド型の売上管理システムサービスの案内を受けましたが、どのような機能や基準で比較をすればよいか分かりませんでした。また、クラウド型の売上管理システムは高額な料金がかかるため、選ぶのにも慎重にならなければいけません。
適切なシステム導入をするためにイジゲングループに相談したところ、「店舗スタッフのパソコンの取り扱いやITスキルなどに合う仕組みで、まずは必要な機能を整理し、低コストで小さく早くできることを一緒に進めましょう」と提案をいただきました。
本質的に解決したい課題や、最小限で必要な機能を客観的に比較・検討してもらった結果、まずは無料で活用できるGoogleのスプレッドシートを活用することになりました。
各店舗でGoogleアカウントをつくり、共通のスプレッドシートに入力。計算等は事前に式を組み、店舗では実際に売れた個数や生地の使用量を入力するだけにしました。本部では更新をリアルタイムで閲覧でき、集計も自動計算にし分析も簡単にできるように。アカウント管理や閲覧権限の徹底もし、セキュリティーにも配慮しています。
経営層側で、店舗の売上等を日次で把握したいという課題も解決できました。パソコンかスマホがあればいつでもどこでも全店舗の状況をすぐに確認できるようになりました。これにより、迅速な判断や必要な指示を出すことが可能になったのは、経営側として非常に大きなメリットを感じています。
これまで本部で報告書をまとめる作業に30分かかっていたものが、5分程度になりました。短縮した分、店舗運営全体の効率化やサービス向上につながっており、現場の従業員も、煩雑だった業務がスムーズになったことを実感しているとポジティブな声を聞いています。
また、これまで属人化していた作業でもあったのですが、マニュアルを作成することで、どの店舗担当者でも入力可能にし、脱属人化も進んでいます。さらに、店舗間の情報共有もスムーズになり、一元管理によって業務ミスも減少しました。
デジタル化をするとなると、多額のシステムやツールを導入しなければならないというイメージがありましたが、イジゲングループからの提案によって、コストをかけずとも実行できるデジタル化があるという気づきにもなりました。「今後、必要な機能を加える際は新たなチャレンジとして、必要なツールの導入を検討していきましょう」という言葉に強く共感しました。
ただし、新しいツールやシステムの導入に際して、操作方法や利用の仕方に戸惑う従業員もいます。長い間、伝統的な方法での業務を続けてきた背景があり、新しいデジタルツールの導入や使い方に対する抵抗感や不安も感じられるのが実情でした。
このような抵抗感を少しでも和らげようと、イジゲングループにはマニュアル作成からきめ細やかな連絡をとってもらえました。こちらの事情を汲み取っていただき、そのときの状況に合う最善の提案をしてもらえたように思います。
特に、酒井さん(イジゲングループの担当者)には九州の店舗を弊社の従業員と一緒に回ってもらい、スプレッドシートの操作方法やその効果についてレクチャーをいただきました。本部では実際に手を動かしてもらいながら、不安や疑問に答える形でのサポートを心がけ、結果、徐々にデジタル化への理解や興味を持ってもらえるようになり、今では多くの従業員がその便利さや効率の良さを実感してくれています。
クラウド型の売上管理システムサービスとの比較方法はクレーム報告管理にも活かせました。クレーム発生から報告・承認までスムーズに対応し、リアルタイムで経営層が把握したいという本質的に解決したい課題と運用する体制をしっかりと分析してもらいました。さまざまなCRMや顧客管理システムサービスを分析してもらいましたが、結果として、Googleスプレッドシートで無料で解決できると言う提案を受けました。まずは、小さく早くできることを企画してもらい、工場長や関係者へ説明し、巻き込んでもらいながらプロジェクトをより効率的に進めることができました。
デジタル化をしていくとき、ツールはあくまでも手段です。導入を目的化するのではなく、本質的に解決すべき課題が何なのかそれを運用する体制などをしっかりと紐解きながら、小さく早く、そして低コストで課題にアプローチしていくことが重要だと言うことをとても深く理解することができました。
デジタル化を進めるとともに、必要に応じて紙ベースでの情報共有もスムーズに行えるようになり、社内の受け入れもよりスムーズになりました。実際、スプレッドシートでの管理と併用することで、情報の正確性も向上し、業務効率も上がりました。この取り組みは、デジタルとアナログのハイブリッドな進め方が、現状の企業文化や環境に最も適していると感じています。
ー 今後の展望を教えてください
二鶴堂は28年後には100年企業となります。企業を存続させ成長させていくために、デジタル化をさらに進めていくことが一つの目標です。
今回のスプレッドシート導入の成功を受けて、他の業務もデジタル化できる部分は積極的に取り組んでいきたいと考えています。また、従業員のデジタルリテラシー向上のための研修等も継続的に行っていく予定です。
DX化の目的を考え、無駄のない業務を実現するために意味のない作業を見直し、効率化するためのデジタル化を進めていきます。最終的には、デジタル技術を駆使して、お客様によりよいサービスや商品を提供していくことができれば、と考えています。
事業内容
株式会社二鶴堂様は、菓子の製造・卸・販売を手掛ける企業で、今年で創業72年目を迎えます。代表的な商品は「博多の女」や「博多ぽてと」があり、地元福岡を中心に高い人気を誇っています。
二鶴堂は、「元気な心で価値ある商品とサービスを提供する」ことをスローガン(ビジョン)に掲げています。